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Book Review

無病法 極少食の威力

著者:ルイジ・コルナロ(著) 中倉玄喜(編訳・解説)

出版社:株式会社PHP研究所

今だからこそ必見!102歳まで生きたルネサンス人の健康指南

食欲を満たすための生産技術を次々と発明して貯蔵方法をあみだし、食物の食べ方を洗練させ、飽食に突っ走ってきた人類だが、健康にとって、それが必ずしも良くないことに気づいていた賢者たちも少なからずいた。

例えば「五体いずこなりとも患いあれば、まず食を断つべし」と言った釈迦や、「病のときの食は病を養う」と言った“医学の祖”ヒポクラテス。

16世紀のベネチア貴族、ルイジ・コルナロは自らの体験から、節食が健康の元と確信するに至った人物。重い病気で医者にサジを投げられ、藁にもすがる気持ちで試みた節食で、死の淵から復活を遂げたのだ。

命拾いして完全な健康体となり、心身ともに充実した生涯を送ったコルナロは、その後、節食による健康法の素晴らしさを伝えることに尽力した。欧米では最も有名な長寿者だ。

わずか350gの食べ物と400ccの飲み物。

これが、コルナロの1日の食事の量だ。

そのコルナロが80歳を過ぎて、自分の体験から得た健康・長寿の秘訣を世に広めたいと残した書物や講話がある。本書は、その講話をもとに、訳者が現代の医学情報と照らし合わせて解説をつけたものだ。

近年次々と解明されている、人体のさまざまな仕組みを考えると、コルナロの身におこった奇跡のような復活が、決して奇跡などではなく、理にかなった食事法による当然の結果だとわかる。

「私は、自分の死について、平和な臨終を確信しています。おそらく、讃美歌を歌っている最中に静かに息を引き取るのではないかと思っています。」

コルナロが、総大司教宛に送った書簡の言葉だ。90歳を過ぎてなお心身共に健やかで、充実した人生を送るコルナロは、自分の死に対しても幸福に満ちたイメージを持っていた。

歌いながらとまではいかなかったが、果たして彼は、102歳まで健康なまま過ごし、ある日の午睡の後、眠るように生涯を終えたという。だれもが夢見る理想的な最後ではないだろうか。

「人生100年時代」などと言われるようになったが、コルナロのように、老年になっても病気もせず、健康なままで天寿を全うし、幸福感に包まれて最後を迎えられている人はどのくらいいるだろうか。

人生後半の生き方を決めようという年代の方には、ぜひ読んでほしい1冊だ。

文 / 井澤裕子

目次

  • はしがき
  • 講話1 食を節することの重要性について(83歳の時の講話)
  • 解説1 
  • 講話2 虚弱体質を改善する最良の方法について(86歳の時の講話)
  • 解説2
  • 講話3 幸福な老後を獲得する方法について(91歳の時の書簡)
  • 解説3
  • 講話4 長寿を約束する節食の薦め(95歳の時の講話)