食のコラム
ビヨンド派?それともインポッシブル派?
アメリカのスーパーは季節感がほぼゼロです。初めてコネチカットに来たのは12月だったのですが、スーパーに生のとうもろこしが売られていてビックリしたものです。それでも数年経ってくるとそれなりの四季が見えてきます。最近は屋外BBQに合わせての肉セレクションがセンターを飾るようになってきました。さらにそのど真ん中にドカーンと代替肉の二大巨頭ビヨンドとインポッシブルのパテが積まれていて、2022年の夏の始まりを演出しています。
原材料が大きく違う
両商品とも冷凍長期保存が可能で、二切れで真空パックされており、一切れは113gと全く同量。ビヨンドはパックの上に厚紙を使用しているのに対して、インポッシブルはプラスチックの薄いフィルムを巻き付けているだけで、若干簡易な印象があります。カロリー数値、値段、栄養成分は大同小異といったところです。ただし、原材料となると大きく異なります。ビヨンドは豆プロティン(緑豆、ソラマメなど)を主材料にしており、パッケージにはノーソイ、ノーグルテンと表示されているのに対して、インポッシブルはゼロコレステロールと動物性ホルモンや抗生物質が入っていないことを強調し、原材料はなんと大豆。なるほど、それでオーガニック系の店ではビヨンドの参入度が高いわけです。
さてお味は?
実際にグリルしてみると、ビヨンドは悪臭とまではいいませんが、なんとも形容し難い独特の匂いがあります。調べてみる「なぜビヨンドは妙な匂いがするのか」という記事をすぐに見つけたぐらいですので同じこことを感じているのは私たちだけではなさそうです。その匂いの元は豆らしいのですが、ソラマメを加熱した時の匂いとも違う、何か様々な豆の混合からの匂いなのでしょうか。自宅で調理する場合、匂いは食欲と密接に関係していると改めて実感します。それでも、パテを噛んだ時の肉感は感動的で、さらに肉の赤みをビーツやざくろジュースで再現するなど、企業努力には感心。匂い問題は今後の課題にしてほしいところです。一方、インポッシブルの原材料はシンプルで大豆の他には片栗粉やココナッツ、サンフラワーオイルなどで、我が家ではインポッシブル推しの声が大きかったです。妙な匂いはないし、それなりの肉感もあり、大豆だからなのか、ある種馴染みのある味わいが伴走してくれているようで、安心・満足感は大きかったです。
両社ともパテ以外にもミートボールやソーセージ、ナゲッツと様々な商品がありますので、パスタのソースやピザのトッピングなどにいろいろ活用できそうです。またファーストフード店とも独自に商品開発をしていて、バーガーキングはインポッシブル・ワッパー、KFCはビヨンド・ナゲッツで全米展開しています。
文 / 小野聖子(米国コネチカット在住)