未来の食を考えるウェブメディア

TAKE-NOKO

食の未来を考える時、食料としてムシできないのが虫。古くて新しい文化、昆虫食を知る

今後、環境の変化や人口増加によって、起こるかもしれないと危惧されている食糧難。中でもタンパク質の大幅な不足が予想される状況で、肉に代わる「タンパク源」として期待されている食材の1つが虫です。

2013年、国連農業機関(FAO)が、食料問題の解決策として、「昆虫を食用にしたり、家畜の飼料にしたりすることを奨励する」という内容の報告書を出しました。それがきっかけとなり昆虫食への関心と期待が年々高まっています。

最近では、無印良品が「コオロギせんべい」や「コオロギチョコ」を発売し話題となりました。

今回、編集部でも昆虫を食べてみようということで、昆虫食の販売や製造を行う、TAKEO株式会社直営のショップ、TAKE-NOKOに行ってみました。

昆虫食初体験!

昆虫食販売で知られるTAKEO株式会社は、2014年創業。昆虫食の販売や製造だけでなく、昆虫の養殖やエサの研究開発まで手がける昆虫食業界の草分け的存在です。そのTAKEO株式会社のイートインも備えた実店舗が20018年にオープン。2021年には、TAKE-NOKOとしてリニューアルオープンしました。全国から昆虫食ファンが訪れる人気店です。私が伺った日も、開店前から外でお客さんが待っていました。

古民家カフェ風の店内は、心地よい音楽が流れ、おしゃれで落ち着いた雰囲気です。

カウンターの後ろにずらりと並ぶ銀色パックは、輸入物の昆虫。そのほとんどは、昆虫食が一般的になっているタイからの輸入品とのことで、アリ、サソリ、サゴワーム、イナゴ、タガメ、ハチやコオロギなどたくさんの種類が揃っています。

国産の昆虫パックは「広島こおろぎ」「京都こおろぎ」「山梨かいこ蛹(さなぎ)」など8種類。試食もできます。

そのほか、店内の棚には、「コオロギコーヒー」や「昆虫ふりかけ」「コオロギカレー」「タガメサイダー」「コオロギクッキー」といった加工品も並んでいます。

店内カウンター。店長の三浦さんがいろいろ教えてくれる。後ろに並んでいる銀パックは輸入の商品
国産の商品。いろいろな味のコオロギを試食させてもらった

「広島こおろぎ」「京都こおろぎ」「二本松こおろぎ」の3つを試してみました。コオロギは餌によって味が顕著に変わるらしく、生産者はそれぞれ餌を工夫しているそうで、広島こおろぎはアーモンド味、京都こおろぎは海産物のような磯の香りがします。二本松こおろぎは少し燻製のような感じです。

広島こおろぎのロースト

3つとも抵抗なく、美味しくいただきました。

人にも環境にも虫にもやさしく

TAKE-NOKO店長の三浦さんに、TAKEO株式会社の事業や昆虫食事情についてお聞きしました。

昆虫の養殖は畜産に比べて環境負荷が少ないことから、昆虫食はタンパク質不足の解決に貢献するとして、最近注目されていますね。

三浦さん:最近にわかに注目度が上がっていますが、昆虫食は古くからある食文化です。日本では長野県が有名ですが、実は日本各地にあります。栄養があることも昔からの知恵でわかっていたのです。

御社のHPに「野菜、魚、肉などと同じように昆虫が食として楽しまれる、より豊かな食卓の実現を目指しています。」と書かれていたのが印象的でした。

三浦さん:はい。昆虫は特別ものではなく普通に食卓にのせて楽しめる食材の一つです。弊社は、食材の選択肢に昆虫を加えることで、食のバラエティが広がり、より豊かなものになると考えています。

最近は、昆虫食に抵抗のある人にも食べやすいように、パウダー状にした昆虫などを使って形がわからないようにした商品も増えていますが、こちらで販売されている商品や出されている料理を見ると、あえて虫の形をそのまま強調したものが多いようですね。

三浦さん:ここは昆虫食が好きな人のための店だから、ということもありますが、もうひとつ、食べているものが何なのかしっかりわかった上で食べて欲しい、という思いがあります。昆虫は、エビやカニなどの甲殻類と同じようにアレルギー反応を起こすことがあります。わかっていれば用心もできますが、急速に一般に広がり、知らないうちに口に入ってしまうリスクが恐いのです。

天然のものは、どんな環境にいた虫なのか、毒などは無いのか少し心配ですが、お取り扱いの商品は養殖の昆虫ですか?

三浦さん:ほとんどは養殖物ですし、流通しているものは基本的に、毒などの心配は要りません。当店のオリジナル商品、『宮崎スズメバチ』は天然物ですが、蜂を熟知している養蜂家が、生態系を壊さないように自然のバランスを考えて獲られている蜂なので、安心して召し上がっていただけます。

人気商品、『めっちゃ タガメサイダー』をいただく

TAKE-NOKOの昆虫メニューはどれも絵になります。みたらし風の『こおろぎアイスもなか』も、糞に見立てたバジルシード入り『カイコフンティー』も、香ばしいコオロギが40匹も入った『国産コオロギペペロンチーノ』も、どれも魅力的ですが、中でもコレ、『めっちゃ タガメサイダー』がものすごい存在感!

人気メニュー『めっちゃ タガメサイダー』

このメニューがいただけるのは実店舗のみ。人気商品の『タガメサイダー』(タガメエキス入りソーダ)に、タガメ本体をトッピングし、さらに卵に見立てたタガメシロップ漬けのタピオカまで入った上級者メニューです。初心者の私ですが、勢いで注文しました!

噂どおり青リンゴのようなタガメの香りで、上品な甘さで美味しいサイダーでした。グラスのフチに止まっているかのようにトッピングされたタガメは、背中を割ってあり、中の肉を爪楊枝でほじくり出していただきます。爪楊枝の先について出てきたタガメの肉にビックリ!まるで蒸し鶏やツナのように弾力のある感じがまさに肉。タガメの肉、抵抗なく食べられました!

ほじくり出すのは抵抗がありましたが、取り出した肉は蒸し鶏みたいな感じ

昆虫食未経験の方、来るかもしれない食糧難に備えて…ではなくても、ぜひ一度食べてみてください。きっと以外な美味しさに驚かれると思いますよ!

TAKE-NOKOでは、いろいろなイベントも開催されています。興味のある方は、HPでご確認ください。

取材・文 / 井澤裕子

TAKEO株式会社

東京都台東区西浅草1-3-14

TAKE-NOKO

東京都台東区西浅草1-3-14 2F