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THE VEGETARIAN BUTCHER

代替肉メーカー、ベジタリアンブッチャーの取り組み

環境負荷の問題などから、食品業界で注目を集めている植物由来の代替肉(Plant Based Meat=通称PBM)。ベジタリアンブッチャーも植物由来の代替肉のメーカーの一つです。そのベジタリアンブッチャーのレストランが池袋にあると聞いて行ってみました。

チキンチャンクサンド(チキンはもちろんPBMです)を食べてみたら、とっても美味しかったので、アポなしでしたが、店長で飲食事業総括マネージャーの若松有紀さんにお話を聞きました。ベジタリアンブッチャーのブランドについて、また、ベジタリアンブッチャージャパンの面白い取り組みについてもいろいろと伺うことができました。

店長で飲食事業総括マネージャーの若松有紀さん

オランダ発の代替肉メーカー

オランダ発のメーカーであるベジタリアンブッチャーは、ヨーロッパではバーガーキングとのコラボも話題を呼び、同社の商品はヨーロッパを中心に世界45カ国で販売されています。

ベジタリアンブッチャーの創業者は、オランダの農場主だったJaap Korteweg氏。豚インフルエンザや狂牛病の発生を機に、家畜を屠殺せずに動物性肉と同等以上の品質のPBMを作ろうと開発に乗り出しました。1998年から開発をはじめ、2010年にはオランダハーグの中心部に「THE VEGETARIAN BUTCHER」の1号店をオープンし、世界中で話題になりました。

2018年には ユニリーバの傘下となり、国境を超えて販路を拡大中。

ヨーロッパ最大の持続可能性についてのブランド調査、サステナブル・ブランド調査 2021(Sustainable Brand Index 2021)で、ベジタリアンブッチャーは、オランダのブランドのうちの第2位を受賞しています。

Sustainable Brand Indexの2021のオランダで2位!

ベジタリアンブッチャージャパン

そんなベジタリアンブッチャーの日本法人、株式会社ベジタリアンブッチャージャパンは2020年8月に開業。CEOを務める村谷幸彦さんは、もと(本物の肉の)焼肉屋さんです。代替肉に興味をもち、可能性を感じてオランダのベジタリアンブッチャーに直接掛け合い、独占契約にこぎつけたのだそうです。主な事業は代替肉の卸売。オランダから仕入れた冷凍の代替肉をレストラン等に卸しており、一般消費者はベジタリアンブッチャーのECサイトやアマゾン、楽天などで購入できます。

池袋のレストランのメニューは、ヴィーガン料理などで有名な大平哲雄シェフが監修。美味しさに納得です。村谷さんが「肉好きの人を満足させるメニュー作りをしている」と語っているとおり、私がいただいたチキンチャンクサンドも、忠実に再現された肉の食感と、本格的な味付け、欧米のレストランを思わせるボリュームで、とても満足のいく一皿でした。

本物のチキンのような食感で美味しい、チキンチャンクサンド

実店舗には、持続可能な地球環境への思いが詰まっている

料理の美味しさもさることながら、レストランの店内では、ベジタリアンブッチャーの「持続可能な地球環境への思い」を伝える、様々な取り組みが見られ感銘を受けました。

レストランの横には、日本初となるPBMの肉屋を併設。量り売りで購入できます。

PBM専門の肉屋を併設。量り売りでも購入できまる

「フード・シェアリング・フリッジ」と呼ばれる冷蔵庫には、取引先からの試供品やキャンセルになった料理など、商品として提供できない食材が入っており、お客さんは無償で持ち帰ることができます。フードロスを軽減する取り組みであり、お客様にいろいろな味を体験していただく機会にもなります。

フード・シェアリング・フリッジ

入り口付近には、「アーバンファーミング」と呼ばれる水耕栽培の棚。レストランの料理に使う、レタスやハーブなどが無農薬栽培されています。生き生きと育っていて美味しそうでした。

アーバンファーミングで育つ野菜

ファッションスペースも見逃せません。オーガニックの生地を使ったTシャツや、廃棄予定の野菜で染めたTシャツなど。古紙を利用したブランドタグには野菜のタネが入っており、水につけて土に埋めると野菜が育つのだそうです。自分で野菜を育ててみるきっかけにもなる、素敵なアイデアですね。

廃棄予定の野菜で作った染料で染めたTシャツ
土に植えると家庭菜園になるタグ。野菜のタネが入っている

お店で食べきれなかった料理は、TO GO BOXで持ち帰ってもらうことを奨励し、食品の廃棄を減らす対策もしています。

食料を生産すること自体が、地球環境にとって大きな負荷になっていることがわかっています。

壊す一方ではなく地球環境を守るためには、持続可能なシステムを作る必要があります。そのような観点で考えると、食べるためにどのように生産された何を選ぶかということは、地球の未来とどう向き合うかということ。ベジタリアンブッチャーの取材を通して改めてそう感じました。

取材・文 / 井澤裕子

ベジタリアンブッチャー池袋

東京都豊島区西池袋3-29-9 C3ビル B1F